2011 Fiscal Year Annual Research Report
科学技術の参加型評価手法の理論的基礎の解明および実用化支援ツールの開発
Project/Area Number |
21700839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
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Keywords | 科学技術社会論 / 科学技術コミュニケーション / 社会学 |
Research Abstract |
本研究の課題は,(1)参加型TA手法と社会的意思決定システムとの接続関係についての考察,(2)同手法の実用化を促進するツールの開発の2点であった.最終年度となる平成23年度は,昨年度までに行った予備的検討(政治学等における熟議デモクラシーや政策システムの分析,科学技術コミュニケーション,科学技術社会論等における市民参加についての議論に関する検討)や,国内外の事例調査・分析を踏まえ,さらに考察を進めた.昨年度実施した英国での調査も参考にしながら,事例の分析と類型化をさらに進め,市民参加による議論のテーマと手法の対応関係や,政策決定への接続・活用をめぐる議論の整理,制度設計,実際の運営体制の考え方について検討した.以上の研究結果と,過去のコンセンサス会議の実践事例のまとめを総合する形で,この手法の実践に関心を持つ人びと向けの手引きともなる論文をまとめ,討議デモクラシーの手法をテーマとした単行本に寄稿した(「コンセンサス会議:市民による科学技術のコントロール」篠原一編『討議デモクラシーの挑戦:ミニ・パブリックスが拓く新しい政治』岩波書店). また,コンセンサス会議を含む参加型TAの社会的意義について,本研究の考察を通じて得たエッセンスを,『北海道新聞』に連載した論説「科学技術との付き合い方」(2012年1月~2月に5回連載)の中で紹介し,研究成果の社会還元をはかった.以上の研究を通じてコンセンサス会議を始めとする市民参加手法を,科学技術と一般社会との接点に生じる諸課題の把握や,両者の間での良好なコミュニケーションの促進に役立てるための条件を解明するとともに,その知見を知識を広く社会に還元することができた.
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Research Products
(5 results)