2012 Fiscal Year Annual Research Report
油彩技法の起源に関する東西壁画の技法材料の比較研究
Project/Area Number |
21700845
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40392550)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 油彩技法 / 技法材料 / セッコ壁画 / 化学分析 / シルクロード |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者によってはじめて明らかにされた「世界最古の油彩技法」が中央アジア・アフガニスタンのバーミヤーン仏教壁画で使用されたという事実を踏まえ、さらに周辺領域に視点を広げて、油彩技法や油性塗料の起源・由来を明らかにすることを目的とするものである。最終年度となる本年度は、ドイツ・ベルリンのアジア美術館所蔵の中国新疆ウイグル自治区・キジル千仏洞の石窟壁画、ロシア・エルミタージュ美術館所蔵の中央アジア・ソグド壁画を中心に調査を行った。 ベルリン所蔵の壁画については、ラトゲン研究所とともに、非接触手法を用いて光学情報を疑似カラーに変換することによる顔料分析や、キーエンス社製の高精度実体顕微鏡、微小部XRF等を用いて製作技法の調査を実施した。 これらの壁画は、すべて練り土からなる壁に、有機物質を膠着材とした絵具を使用して彩色をしたいわゆる「ア・セッコ」技法によって描かれたものであり、ラテルネンデッケ天井(方形組み上げ天井)を有する一群のバーミヤーン仏教壁画のにみられるような油彩技法ではなく、むしろ、その前段階に位置する彩色技法・材料を駆使して描いたものであることが明らかとなった。油彩技法とユーラシアの壁画・建造物彩色の関係をさらに追及するためには、研究対象地域をさらに広げ、北部インド、ラダックなどの地域を含めてさらに調査する必要があるとの結論に達した。 また、本年度は、イラン、インド、日本や地中海世界に伝わる彩色材料や技法に関する文献を調査し、当該地方における植生・地質に関する調査と、グプタ朝時代、ローマ時代等の古典彩色技法書などを用いて、伝統的な材料や技法に関する基礎的な情報の精査を継続するとともに、技法材料に関しての総合的な論考を講演会で発表し、出版物としてまとめる作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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