2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本の家禽の歴史は動物考古学からどこまで遡れるか?
Project/Area Number |
21700846
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
江田 真毅 鳥取大学, 医学部, 助教 (60452546)
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Keywords | ニワトリ / ガチョウ / 家畜化 / 動物考古学 / 家禽 |
Research Abstract |
日本における家禽の起源とその歴史の解明を目的に、遺跡から出土した鳥類の骨および現生の骨標本を調査した。主な成果は下記のとおりである。 1.弥生時代のニワトリの骨形態の調査:朝日遺跡(愛知県清須市)とカラカミ貝塚(長崎県壱岐市)から出土した弥生時代のニワトリの足根中足骨を計測し、動物園などで「セキショクヤケイ」として飼育されていた個体や様々な品種の「ニワトリ」、日本に生息するキジやヤマドリの骨と比較した。その結果、「セキショクヤケイ」の足根中足骨は「ニワトリ」に比べて相対的に細く、キジやヤマドリと同程度の太さであった。また、弥生時代のニワトリの足根中足骨は、現代の「セキショクヤケイ」と同程度の太さであった。これらのことから、弥生時代のニワトリの長骨は、家畜化の初期段階の「セキショクヤケイ」と同程度の家畜化の傾向を示し、キジやヤマドリとの識別は困難なことが示唆された。この知見は、弥生時代のニワトリの骨がこれまで見過ごされてきた可能性を示唆するとともに、キジ科資料の非計測形質による同定基準の作成が急務であること、弥生時代のニワトリの骨の再検討が必要なことを示すと考えられた。 2.遺跡から出土した鳥類遺体の調査:草刈遺跡(千葉県市原市・縄文時代中期~中世)、中里峽山遺跡(東京都北区・江戸時代)、萩城跡(山口県萩市・江戸時代)、和蘭商館跡(長崎県長崎市・江戸時代)の各遺跡から出土した鳥類遺体を分析し、ニワトリとガチョウの骨の検出に努めた。その結果、萩城跡および和蘭商館跡の両遺跡からニワトリの骨が多数検出され、両地域でニワトリが多数利用されていたことが示された。一方、ガン族の骨は草刈貝塚と和蘭商館跡で認められたものの、骨髄骨や幼鳥の骨は認められず、ガチョウと同定できる資料はなかった。
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