2010 Fiscal Year Annual Research Report
生産遺跡における製錬スラグの科学的分析と体系化に関する研究
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21700848
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 哲也 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (50315115)
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Keywords | 生産遺跡 / 製錬スラグ / 蛍光X線分析 / 鉱山技術 / 長登銅山 / 佐渡金銀山 |
Research Abstract |
平成22年度の主な研究成果は次の通りである。 (1)山口県長登銅山にて竪型炉を用いた銅製錬実験を行った。H21年度製錬実験の炉内津の調査を進め、炉底に大量の床尻銅(金属銅)の生成を確認した。また製錬津試料のX線CTによる非破壊での内部構造調査を予察的に行い、金属粒子の分布状態の観察が可能である事を確認した。 (2)山口県笹ヶ谷銅山において坑内の調査を行い、低品位の鉱石の採取を行った。 (3)佐渡金銀山の相川奉行所跡発掘の江戸初期の長窯における、焼金プロセス関連土製品(棒状、板状)の化学組成分析、及び面分析による元素マッピングにより、金銀分離過程における銀の濃集状態の把握を行った。日本特有の金銀分離技術を科学的に解明する重要な手がかりを得た。また、鶴子銀山代官所跡発掘現場において製錬津の存在を確認し、分析の結果、現地における銀製錬の可能性を示した。 (4)山形県延沢銀山(西山地区、東山地区)、谷口銀山、秋田県院内銀山、畑銀山、荒川銅山において現地調査を行い、採掘跡の残存状況や製錬津の分布の把握および試料の採取を行った。これらの試料について化学組成分析等を進め、江戸期の銀山に関する基礎データの蓄積を行った。 前年度の成果も含め、一部の成果については、資源・素材学会で報告を行った。
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