2011 Fiscal Year Annual Research Report
亜酸化窒素発生における土壌糸状菌の生態学的役割の解明
Project/Area Number |
21710004
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Research Institution | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存修復科学センター, 研究員 (50466645)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 土壌糸状菌 / Mortierella elongata / Metarhizium / 内生細菌 |
Research Abstract |
本研究は、温室効果ガスである亜酸化窒素(以下、N_2Oと省略)を生成する土壌糸状菌のデータベース構築を行うものであり、窒素循環に果たす糸状菌の生態学的役割を再検証することを目的としている。 昨年度までに、新規N_2O生成経路については、供試菌株にMetarhiziun属分離株を選抜して、各種阻害剤を用いて次の3つの経路の推定を試みている。(1)硝化反応によって、有機体窒素が硝酸イオンに酸化され、続いて脱窒反応により硝酸イオンからN_2Oを生成する経路。(2)硝化過程から副産物としてN_2Oを生成する経路。(3)アルギニンから一酸化窒素を生成し、さらに一酸化窒素からN_2Oを生成する経路。その結果、一酸化窒素生成酵素の阻害剤(L-NAME)の実験から、阻害剤を加えた場合でもN_2O生成が認められたため(3)の経路である可能性は低いことが明らかとなっている。今年度は(1)および(2)に関してさらに解析を進めたが、経路の特定には至らなかった。一方、内生細菌保有糸状菌のN_2O生成機構の解明では、N_2O生成糸状菌で内生細菌を保有する菌株motierella elongataについて詳細に検討を行った。その結果、糸状菌のN_2O生成における内生細菌の関与の可能性は低いと結論付けられた。しかし、亜硝酸添加培地で嫌気培養を行うと、内生細菌を保有している株のみが死滅するという現象が見出された。これはN_2O生成の前に発生する一酸化窒素(NO)による毒性効果とも考えられ、細胞内でのNO検出や脱窒関連遺伝子の再検討などの課題が挙がった。また、motierella elongata以外のN_2O生成糸状菌からも内生細菌が数多く検出されたため、内生細菌保有糸状菌のN_2O生成機構の解明についてさらに複数菌株で解析を進める必要があると考えられた。
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Research Products
(6 results)