2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 智喜 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (40377784)
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Keywords | 地球温暖化 / 放射収支 / 大気エアロゾル / 光学特性 / 湿度依存症 / キャビティリングダウン法 / レーザー分光 |
Research Abstract |
本年度は、室内実験により、二次有機エアロゾルの消散係数の湿度依存性について調べた。二次有機エアロゾル(SOA)は、国立環境研究所の光化学スモッグチャンバー内に前駆気体と酸化剤を導入して大気化学反応を再現し、生成した。前駆気体として、植物などから放出されるテルペン類(アルファピネン)や産業活動による放出される芳香族炭化水素類(トルエン)を用いた。生成したSOAの消散係数の湿度依存性を、本研究課題において開発したキャビティリングダウン(CRDS)装置で計測した。また、飛行時間型エアロゾル質量分析計(ToF-AMS)でエアロゾルの化学成分を測定した。 その結果、相対湿度80%に加湿すると、アルファピネンのオゾン酸化反応で生成したSOAでは5%程度、トルエンの光酸化反応で生成したSOAでは最大13%程度、消散係数が増加することが判明した。また、トルエンの光酸化反応で生成したSOAの場合、SOAの酸化が進むにつれて、SOA中の酸素原子と炭素原子の比(O/C比)が増加し、同時に消散係数の増加率も大きくなることが判明した。本研究の結果、SOAの酸化が進むと、カルボン酸などの極性官能基が増加することで、SOAの吸湿性が増加することが示唆された。また、得られた消散係数の湿度依存性を、同時に測定した複素屈折率や粒径分布と比較した結果、消散係数の湿度依存性が、吸湿に伴う粒径の変化(吸湿成長因子)だけでなく、複素屈折率の変化にも大きく依存していることが明らかとなった。本研究の結果は、エアロゾルの光散乱や光吸収が大気の放射収支や気候変動に及ぼす影響評価における不確定性の低減につながると期待される。
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Research Products
(15 results)