2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710012
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小針 統 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (60336328)
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Keywords | 海洋科学 / 海洋生態 / 環境変動 / 物質循環 / 沈降粒子 / 動物プランクトン / 鉛直輸送 |
Research Abstract |
課題1.動物プランクトンの摂餌が植物プランクトン群集組成に与える影響 微小動物プランクトンの摂餌がピコプランクトン群集に与える影響を、北太平洋亜熱帯および亜寒帯外洋域での船上実験にて評価した。いずれの海域でも、あるサイズ画分が除去されるとみかけの増殖速度が増減することがあり、微生物食物網内にはいくつかの栄養段階を通じた強い捕食被食関係があることが示唆された。これまで、食物網内の動態はボトムアップ効果によって説明されることが多かったが、トップダウン効果によりピコプランクトン群集構造を変化させる可能性があることが示唆された。 課題2.沈降粒子の変容・減耗と動物プランクトン群集組成の関係 動物プランクトン群集が糞粒の分解・断片化に与える影響を、内湾域での船上実験にて評価した。従属栄養細菌は糞粒を分解・断片化しなかったが、微小動物プランクトンやカイアシ類が糞食する場合があることが認められた。近年では、カイアシ類よりもむしろ微小動物プランクトンの糞食によって沈降粒子が減耗するとされているが、本実験結果よりいずれも減耗効果に貢献する場合があることが分かった。 課題3.動物プランクトンによる能動的鉛直輸送 北太平洋亜熱帯および亜寒帯外洋域の冬期において、動物プランクトン群集が昼夜鉛直移動により深層に輸送した炭素量を推定したところ、いずれの海域でも動物プランクトン群集が表層で排泄した糞粒の沈降量よりも多かった。これまで、動物プランクトン群集の糞粒が鉛直輸送に貢献すると考えられてきたが、従来の手法では見過ごされてきた部分が重要であることが示唆された。
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