2009 Fiscal Year Annual Research Report
天然有機物の腐植化過程における生化学的普遍性の解明
Project/Area Number |
21710014
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
保原 達 Rakuno Gakuen University, 環境システム学部, 准教授 (70391159)
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Keywords | 天然有機物 / 腐植化 / 普遍性 / 加水分性アミノ酸 |
Research Abstract |
天然有機物腐植化について、初期変化と長期的変化に関する研究を行った。まず初期変化については、室内での培養実験とフィールドでのリターバック実験を行い、腐植中の加水分解性アミノ酸組成の変化を調べた。その結果、リターの加水分解性アミノ酸組成は、バクテリア体の構成に近づくことが分かった。また、腐植化の長期的変化については、クロノシークエンスに沿った土壌サンプリングに基づいた調査を行った。具体的には、北海道内で年代の異なる様々な火山灰堆積層から腐植有機物を採取した。現在これらの腐植サンプルの化学分析を進めており、天然有機物腐植化の長期的化学的特性の変化について今後明らかになってゆく。さらに、こうした天然有機物腐植化の海洋及び生物体内との普遍性に関して、ケイ素の植物体から腐植中への含有形態過程が共通する可能性が見出された。次年度は、これらも念頭に入れた研究を行っていきたいと考えている。本研究の意義は、陸上土壌、海洋、生物体内という異なる環境下の天然有機物腐植化過程を、統合的に捉えるという試みにある。こうした腐植化過程は、これまで異なる研究領域で別々に論じられてきたが、微生物を中心とした有機物の生化学的変化の過程であるという点においては基本的には共通する部分も多い。そのため、こうした全く異なる環境下の有機物分解研究を統合的に行うことで、これまでそれぞれの領域でのみ認識されていた知見を相互補完し、分野横断的な普遍性の追及へ発展させることが可能となる点に、本研究の重要性がある。
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Research Products
(3 results)