2010 Fiscal Year Annual Research Report
南極内陸地域への水および物質の輸送・堆積過程の研究
Project/Area Number |
21710017
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
倉元 隆之 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (30511513)
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Keywords | 環境分析 / 南極 / 表面積雪 / 物質循環 / 水循環 |
Research Abstract |
極域で掘削された氷床コアを用いて過去の気候変動を詳しく解明するためには、間氷期と考えられる現代において、水蒸気や雪に含まれる化学物質がどのように極域へ輸送されるかという物質循環過程を知ることが重要である。本研究課題では、沿岸域から内陸地域間への水および化学物質の輸送経路を明らかにするとともに、物質の年間沈着量を明らかにすることが目的である。南極地域観測隊によって、ドームふじルート上で採取された表面積雪試料の水の安定同位体比や各化学成分濃度の測定を行った。極域の雪氷試料のように化学成分をわずかしか含んでいない水試料のpHや電気伝導度を正確に測定することは難しい。そこで、従来と比べて少ない試料量で正確に測定できるようにセンサーの改良などを行い、精度良く測定ができることを確かめた。この方法を用いて、南極沿岸からドームふじ間のルート上の表面積雪のpHと電気伝導度を測定した。これらの結果から、南緯73度付近より内陸では成層圏由来と考えられる成分が増加しており、沿岸と内陸では表面積雪の化学特性が異なることが分かった。グリーンランドで行われている深層掘削の現場において、深さ約2mの積雪断面観測を実施し、積雪試料の採取を行った。採取した試料は、水の安定同位体比の解析結果から過去約4年間に堆積した雪であった。イオン濃度の変化から、現在の雪に含まれている化学成分の季節変化とその起源、表面質量収支変動を明らかにすることができた。
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