2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯・亜熱帯林生態系による自然起源オゾン破壊物質のガス交換過程の解明
Project/Area Number |
21710020
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
斉藤 拓也 National Institute for Environmental Studies, 化学環境研究領域, 研究員 (40414370)
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Keywords | 塩化メチル / 臭化メチル / 成層圏オゾン / 熱帯林 / 安定同位体 |
Research Abstract |
熱帯林は自然起源のオゾン破壊物質である塩化メチルや臭化メチルの発生源であるが、そこに生息する微生物はそれらの吸収源として作用していると考えられている。本研究では、これらを区別するための安定同位体トレーサー法を導入することで、熱帯植物の葉からの放出に加え、葉上や土壌中に生息する微生物による塩化メチルおよび臭化メチルの吸収量を推定することを目的としている。今年度は、土壌や葉をバイアル瓶などにサンプリングすることによる擾乱を避け、現場で植物の葉群や土壌からの塩化メチルおよび臭化メチルの放出・吸収量を測定するためのチャンバー及びサンプラーの開発を行った。本チャンバーは、温室効果によるチャンバー内部の気温上昇を抑えるため、外気を一定流量で導入する仕様となっている。自動サンプラーは、複数のマルチポジションバルブ及びタイマーなどから構成され、一定時間間隔で、大気を真空排気済みステンレス製キャニスターへ採取できる。なお、これらの通気式チャンバー及び自動サンプラーは、現場での使用に耐えられる様、可搬型とし、12Vのバッテリーによる駆動が可能である。また、ppmレベルに調整した塩化メチル及び臭化メチルの安定同位体標準ガスやチャンバー内外の気温・湿度・光合成有効放射量を測定するための装置を整備した。これらの装置は、国立環境研究所のバイオトロンセクションで生育させている熱帯植物を用いた予備実験に使用し、良好な結果を得た。来年度は、これらの装置を用いて西表島の亜熱帯林生態系における塩化メチル及び臭化メチルの放出量及び吸収量の測定を行う予定である。
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