2010 Fiscal Year Annual Research Report
二次元pHセンサの開発と海底におけるpHプロファイルの可視化手法の確立
Project/Area Number |
21710024
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小栗 一将 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究主任 (10359177)
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Keywords | pH / 可視化 / 堆積物-水境界 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、(1)pHセンサの基本設計と開発、(2)現場観測用装置の開発を行った。(1)pHセンサについては、昨年明らかになった、エチルセルロース膜に固定したαナフトールフタレインがpHの変化に対して十分な変色を伴わない、という問題に対処するため、αナフトールフタレインをアルカリ状態(群青色を呈する)にした状態で膜に固定する手法を試みた。まず、αナフトールフタレインをテトラオクチルアンモニウムヒドロキシドと共にメタノール溶液に溶解させ、さらにこの混合物をトルエンに溶解させたものを、PETフィルムに塗布・乾燥させた。このセンサホイルは、二酸化炭素のようなガス成分に対して顕著な色変化(酸性になると透明になる)を示したが、このままでは海底の堆積物-水境界に適用することは難しいので、さらにこの混合液にポルフィリン化合物(TPP)を混ぜ、吸光型センサフィルムに発展させた。このフィルムは、紫外線励起によってTPPが発する赤色蛍光が、アルカリ性の時はαナフトールフタレインが青色に吸収されるため弱く、酸性の時は吸収が少なくなるため強い、と言う特徴がある。これによって、蛍光強度pHセンサホイルの開発を終えた。(2)耐圧容器内に市販のCCDカメラと励起光源を組み込んだ現場観測装置を開発した。今年度は、深海で使用するために、耐圧2000mを目標とする装置を制作した。しかしながら、pHセンサホイルを紫外線で励起する必要があるため、前面ガラス窓の材質を石英ガラスにしなければならず、実際の耐圧試験の結果、1800m相当の圧力でガラスが破壊することが分かった。また、同一のガラスを取付け、実際の海底(1500m)で試験を行った結果、再びガラスの破壊が生じた。これは、石英ガラスには目に目無い傷やわずかな製造誤差が存在し、これによりガラスのロットにより強度が異なるために生じたと推測される。
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