2009 Fiscal Year Annual Research Report
対流圏エアロゾル粒子による大気微量成分の取り込み過程の解明
Project/Area Number |
21710025
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
竹谷 文一 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 研究員 (50377785)
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Keywords | HO2ラジカル / 不均一反応 / 取り込み係数 / エアロゾル粒子 / レーザー誘起蛍光法 / 湿度依存 |
Research Abstract |
これまで報告がなかった、HO2ラジカルの有機エアロゾル粒子に関する取り込み係数の測定を行った。有機エアロゾル粒子はバイオマス燃焼起源エアロゾルの主要成分と報告されているレボグルコサン、また、その他の成分とされるジカルボン酸の内コハク酸C2H4(COOH)2、アジピン酸C4H8(COOH)2、ピメリン酸C5H10(COOH)2、グルタル酸C3H6(COOH)2、およびポリスチレンラテックス粒子を用いた。HO2ラジカルの取り込み係数をレーザー誘起蛍光法とエアロゾルフロー管を組み合わせた装置を利用して決定した。レボグルコサン粒子に対する取り込み係数は<0.01(RH22%)、0.01(RH40%)、0.05(RH55%)、0.09(RH75%)、0.13(RH92%)までと相対湿度が大きくなるに連れて取り込み係数が増加していることが確認された。一方、ポリスチレンラテックス粒子に対しては0.01(RH22%)、0.02(RH55%)、0.03(RH92%)となり、湿度とともに、わずかに増加していることも確認された。レボグルコサンは吸湿成長により粒子内に水を多く含むのに対し、ポリスチレンラテックス粒子は吸湿成長を起こさない。また、気相中で、HO2ラジカルは水分子と錯体(HO2-H2O)を形成することが報告されている。これらのことから、レボグルコサンに対する取り込み係数の湿度依存は粒子の吸湿成長による粒子の水含有量と錯体による反応の効果、ポリスチレンラテックスは錯体の反応のみによる効果と考えられる。本研究により、はじめてHO2水錯体による取り込み過程の存在が実験により明らかとなった。また、ジカルボン酸に関しても湿度により、取り込み係数の変化が確認された。
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