2009 Fiscal Year Annual Research Report
地形スケールの植生分布パターンと生態学的機序を導入した高分解能植生変動モデル構築
Project/Area Number |
21710026
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 励一郎 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境変動領域, 研究員 (40390710)
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Keywords | 植生変動モデル / 地形スケール / 土壌水分-植物間相互作用 / レジームシフト / 国際情報交換 / モンゴル |
Research Abstract |
1 全球標高データ(ASTER G-DEM)から地形データ[緯度,経度,高度,斜面方位,勾配]を作成するためのプログラムを作成し、全陸域で均質な地形データを得た。地形データに基づく可能蒸発量と斜面勾配による流出から、各メッシュの水収支[浸透量・蒸散量・流出量]を計算し、気候データ[気温・降水量]を入力値として与えたときの土壌表面付近の潜在土壌水分量を推定するプログラムを作成した。 2 土壌水分-植物間相互作用の間の「促進効果」による植生成長への正のフィードバック効果の定量的把握に向けて、関連するモンゴルの植生移行帯における3地域において気象・土壌環境観測システムを整備し、in situデータの収集を開始した。また植生についてもバイオマスの測定を各職死体で行った。半年の暫定的な結果から以下のことが示唆された。 (1) 森林、潅木、草原など異なる植生で、バイオマスと土壌の深さの間に正の相関が見られたことから、植物の存在と成長が土壌の生成と保持を大きく促進していることが示唆された。 (2) バイオマスの大きい植生で、降水に対するより早い土壌水分量上昇が見られたことから、植物の存在が土壌への水の浸透に正の効果を持っていることが示唆された。 (3) 降水後土壌水分量の変化は、バイオマスの小さい植生で低下が速く起こることから、植物の存在が土壌の保水能に正の効果をもつことが示唆された。植物による蒸散量増大よりも土壌表面の被陰と風防効果により蒸発速度が抑制された効果が上回った結果であると考察される。 これらはいずれも、土壌水分-植物間相互作用に正のフィードバックが働いていることを示し、本研究で重要視するメカニズムが野外で測定されることが裏付けられた。
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Research Products
(1 results)