2011 Fiscal Year Annual Research Report
地形スケールの植生分布パターンと生態学的機序を導入した高分解能植生変動モデル構築
Project/Area Number |
21710026
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 励一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (40390710)
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Keywords | 植生変動モデル / 地形スケール / 土壌水分-植物間相互作用 / レジームシフト / 国際情報交換 / モンゴル |
Research Abstract |
モンゴルの植生移行帯に整備した気象・土壌環境観測システムを用いて前年度までに高度化した"地形水収支フィルターサブプログラム""土壌水分・植物相互作用サブプログラム"、"植食作用サブモデル"を組み込んだ植生変動予測が可能な数値モデルを構築した。とくに既存の植生変動モデルと比較して大きく進んだ点は、観測調査からわかった土壌水分-植物相互作用と草本へ偏った植食作用に、正のフィードバックがあることをモデルに取り込めたことで、これまで再現が不可能であった、「地形スケールでの不連続な植生移行」を、現実的なパラメータを用いたメカニスティックモデルで再現できたことである。このモデルフレームワークの構築により、数十メートルの解像度で植生変動予測を、気候変動、人間活動の両フォーシングを複合的にシナリオとして取り入れて予測を行うことが可能になった。植生が地形スケールで示す変化は、降水量のみを現在の値から最大-30%まで段階的に減少させる場合と、これに家畜密度を最大50%まで増加させた影響を加えた場合では大きく異なり、環境変動の影響を複合的に評価することの重要性が示された。ここまでの観測と理論モデルを統合したシナリオ予測モデル構築の取り組みについて、2件の国際会議(iLEAPS)で内容について議論を得た上で、主著論文にまとめた。部分的な観測については一部共同研究者との共著論文にまとめた。本研究で着目した空間的不連続的な分布パターンから、時間的な不連続な植生移行を予測する試みを、現在、生物多様性/生態系の持続性を議論する上で重要視される"Tipping Point"の概念を具体的に扱える事例としてPlanet Under Pressureで口頭発表した。
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[Journal Article] Variation in nitrogen isotopic composition in the Selenga river waters hed2012
Author(s)
Hyodo, F., Nishikawa, J., Kohzu, A., Fujita, N., Saizen, I., Tsogtbaatar, Javzan, C., Enkhtuya, M., Gantomor, D., Amartuvshin, N., Ishii, R., Wada
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Journal Title
Limnology
Volume: (In press)
Pages: 1439-8621
Peer Reviewed
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