2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩花 剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 特任助教 (70431327)
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Keywords | 永久凍土 / 大雪山系 / 富士山頂 / トムラウシ / ヤクーツク / 安定同位体比 / ロシア / チョクルダ |
Research Abstract |
本研究は,最も永久凍土が厚く分布するサイトとして東シベリアのヤクーツク,日本では唯一安定した永久凍土が確認されている大雪山系山頂部,過去に永久凍土の存在が報告されたが現在かなりの後退が推測される富士山頂部の3地域を利用して,気候変動が凍土の絡む生態系と水循環現象に与える影響を評価するものである. H21年度には,ヤクーツクでの永久凍土動態の自動観測を継続した.また,永久凍土地帯特有の地表層水文現象の特徴を捉えるために,ツンドラ-タイガ境界部に位置するロシア・チョクルダ近郊にて4サイト計10本1.5mのボーリングによる土壌試料採取を行った.チョクルダでは,地表層1.5mに季節融解層と永久凍土上層部が含まれており,この部分の体積含水率・体積含氷率,地中水の安定同位体比プロファイル,粒度分析を実施する予定である. 日本の大雪山系頂上部では,山岳永久凍土調査のリアルタイム監視システム立ち上げをほぼ完成させ,調査地の地理学的・微気象学的な位置づけを得た.これによって日本において初めて定義による(つまり連続温度測定による)永久凍土の存在証明がなされた.また,トムラウシ山大量遭難という悲劇的事件の前後の詳細な気象データを様々な報道や事故検証に利用することができた.9月には大雪山系山頂部の永久凍土下端深度を捉え,長期的な永久凍土観測を行うために,集中的なボーリング作業を行った.これにより日本の山岳頂上部では最深となる10mの地温観測孔を設置することに成功した. これまで定義に基づいた永久凍土の存在が確認されていない富士山頂においても3mの地温観測孔を2点に設置することができた.以上の現地調査によって,日本における永久凍土地帯の地温変化を捉える基礎が構築された.
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