2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境モニタリングと連動した臭素系難燃剤のマテリアルフロー分析
Project/Area Number |
21710029
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
真名垣 聡 Yokohama National University, 環境情報研究院, 特任教員(研究教員) (00447434)
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Keywords | 環境質定量化・予測 / 環境分析 / サブスタンスフロー / HBCD |
Research Abstract |
本研究は臭素系難燃剤を対象に、ライフサイクル(製造・流通・製品使用・消費・廃棄)過程における環境中への排出量を推定し、さらに環境モニタリングで得られた測定値と比較検証することで解明されていない排出量や排出経路の推定をより高度化することを目的とした。平成21年度は以下について研究をおこなった。 1. 生産から廃棄過程までのライフサイクルを通じた臭素系難燃剤HBCDのフロー解析 排出量推定ならびに発生源解析を目的として、動的サブスタンスフロー分析を用いた生産から廃棄までの全ライフサイクルにおける排出量推定方法を検討した。HBCDの用途別使用量,製造プロセスや製品廃棄に関する情報を収集、聞き取り調査し、ライフサイクルを通じたHBCDの定量的なフローを作成した。結果、全ライフサイクルで見ると、消費者使用製品や埋立廃棄物への蓄積量が今後増加するため、現状の環境排出量の把握だけでなく、将来的な排出量予測の精度向上の必要性が示唆された。 2. 環境モニタリングによる臭素系難燃剤HBCDの予備調査 HBCDの使用状況や排出経路に関する情報を元に排出が想定される河川を複数選定し、排出源の違いが河川の底質中濃度に与える影響を調査した。採取した試料は高速溶媒抽出装置(ASE)にて抽出後、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(LC-MS/MS ; Waters)にて同定・定量をおこなった。結果、流域人口の多い都市河川に比べHBCD使用工場(繊維)等の排出源を持つと想定される河川流域で1~2オーダー高濃度のHBCDが検出された。このことは工場等の排出源としての寄与の重要性を示唆している。今後は、地域的な差異を考慮したリスク評価をおこなっていく必要がある。
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