2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星データを用いた水稲耕作地の二酸化炭素収支の広域推定
Project/Area Number |
21710032
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩田 徹 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (10304338)
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Keywords | 人工衛星 / 水稲耕作地 / 二酸化炭素 / MODIS / フラックス |
Research Abstract |
前年度までに構築したモデルと水田マップを用いて、2003年度における日本の水稲耕作地における総一次生産量GPP、生態系呼吸量RE、純生態系交換量NEEの広域評価を行った。 各地方でGPPの季節変化はそれぞれ正規化植生指数NDVIの季節変化に依存しており、短期的な変動で光合成有効放射フラックスPARの変動が反映されていた。NDVIの傾向と同様に、早い時期から稲作がおこなわれる寒地ほどゆるやかにGPPが上昇し、遅くから稲作が行われる暖地ほど急激にGPPが上昇していることが確認できた。またピーク値は暖地である中国、四国、九州地方が他地方より少し大きな値を示した。NDVIのピーク値はどの地方でも同程度だったため、これはNDVIピーク時期のPARの違いに起因することが示唆された。REについては気温Tairのピークが反映され、同時期にピークをとったが、GPPと比べると季節的な変動は少なかった。RE値は寒地ほどその値は小さく、暖地は大きな値を示した。結果としてNEEの季節変化は値の大きさからGPPの変動に依存していた。NEEピーク値についてはどの地方も同程度であった。 次にGPP、RE、NEEのそれぞれの積算値について沖縄県を除いた日本全国の地方別に解析した考察を行ったところ、生育期間中の積算値は、GPPが3170±700(gCO_2 m^<-2>)、REが1420±510(gCO_2 m^<-2>)、NEEが-1730±440(gCO_2 m^<-2>)という結果になった。これらの値への支配因子を調べたところ、GPP積算値は平均PARや平均NDVIとの関係性は弱く、生育期間日数に比例するという結果となった。つまり、GPP積算値は生育期間日数の長い寒地ほど値が高く、生育期間日数の短い暖地ほど値が低くなる傾向になった。RE積算値では生育期間日数や平均NDVIとの関係性は弱く、平均Tairに比例した。GPP積算値とは逆に、RE積算値は寒地で値が低く、暖地で値が高いという結果が得られた。上記のGPPとREの結果を反映し、NEE積算値は寒地で値が高く、暖地で値が低いという顕著な傾向が見られた。 最後に構築したモデルを使って日本域の水稲耕作地にモデルを適用した結果、GPPが3170±700(gCO_2 m^<-2>)、REが1420±510(gCO_2 m^<-2>)、NEEが-1730±440(gCO_2 m^<-2>)という結果になった。
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