2010 Fiscal Year Annual Research Report
エコツーリズムは地域経済に貢献しているか―環境評価手法による定量的検証
Project/Area Number |
21710036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
庄子 康 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60399988)
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Keywords | エコツーリズム / 持続可能性 / 環境評価手法 |
Research Abstract |
本研究では、ヒグマの観察を目的とした新たなエコツアーの立ち上げを計画している大雪山国立公園(北海道)の高原温泉沼巡りコースを対象とした研究を立案していたが、一昨年秋に、ヒグマの出没によりコースが閉鎖になるなど、同事例地での研究実施が難しくなったため、同様の試みを行っている知床国立公園(北海道)知床五湖の利用調整地区制度の導入を対象として研究課題を遂行した。 研究課題は、1)選択型実験の実施、2)旅行サテライト勘定と費用便益分析の実施、3)端点解モデルの実施であるが、事例地の変更に伴い、本年度は主に1)~3)を同時進行で行い、得られた結果についてその成果を発表した。 知床五湖ではヒグマが頻繁に出没し、歩道の一部あるいはすべてが閉鎖になっていることが多かった。コースの解放か閉鎖かは現地に出向いてみないとわからないため、ツアーガイドや旅行会社にとっては、代替訪問地の手配や時間調整の手間を発生させる原因となっていた。一方、ヒグマが生息するような原生的な自然環境で安全な利用を実現することは、多くの利用者に共通した希望であった。このような中で導入されるのが利用調整地区制度である。ヒグマとの遭遇時に適切な対処を行うことができるヒグマ対処法引率者との行動が義務付けられ、利用者は実質的に引率者の提供するツアーに申し込むことになる。利用者の満足度も高め、地域経済の経済的な持続性にも寄与する制度になることが期待されている。昨年度の主な成果としては、1)および3)に関わるアンケート調査を現地で実施し、利用調整地区制度対する人々の選好、および制度導入に伴う利用動態の変化を把握した。
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Research Products
(3 results)