2009 Fiscal Year Annual Research Report
森林ガバナンスの構築に向けた時系列財務データ解析による森林組合の経営評価
Project/Area Number |
21710040
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Research Institution | Tottori Research Center |
Principal Investigator |
早尻 正宏 Tottori Research Center, 研究員 (50466637)
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Keywords | 森林組合 / 経営分析 / 中国山地 |
Research Abstract |
中国地方5県に兵庫県を加えた6県を対象に、森林組合の広域再編が単位組合の経営に与えた影響を検討した。本年度は、中国山地を抱く6県の森林組合の広域再編をめぐる基本的情報を入手するために、各県庁の担当者に対して、(1)再編経過と現状、(2)政策の推移と現状、(3)今後の再編の見通し-の3点に関して聞き取り調査を行った。その際、鳥取県、岡山県、広島県、兵庫県の4県については単位組合の財務諸表データを入手した。財務諸表データを用いた経営分析の対象期間は、森林組合合併助成法(第5期)の合併促進期間の始期である1992年度以降とした。経営分析に当たっては、(1)合併組合と非合併組合の比較、(2)合併前後の比較、(3)経営規模(組合員数、組合員所有面積、事業収益などを組み合わせて分類)による比較-の3種類の方法を併用した。各県庁の担当者に対する聞き取り調査の結果、林野庁の提起する1県1組合という再編方針は、必ずしも各県の政策目標として採用されているわけではないことが明らかとなった。また、市町村合併の進展や県の出先機関の統廃合の影響を受けて、市町村や県の出先機関、流域(森林計画区)の範囲と組合の事業範囲が一致しないケースが多くみられた。財務諸表データの時系列分析、特に合併組合と非合併組合の比較では、合併組合の事業量は非合併組合を上回る勢いで減少する傾向にあることが確かめられた。また、事業収益に占める事業管理費の割合が上昇するなどコスト削減効果は認められなかった。今後、聞き取り調査の結果や入手した文献資料を整理し、財務諸表データを用いて詳細な経営分析を進める必要があるが、本年度の調査を通じて中国山地における森林組合の経営動態を明らかにできた。
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Research Products
(4 results)