2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・デンマークの市場活用型国際環境援助戦略の効果
Project/Area Number |
21710041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 晶寿 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (30293814)
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Keywords | 国際環境援助 / 環境政策普及 / デンマーク / ドイツ / 東アジア |
Research Abstract |
2009年度は,3つの点の研究を進めた. 第1に,デンマーク及びドイツが環境援助を行う際に用いた環境言説(environmental discourse)の内容と,それを環境援助を活用して途上国に伝達する戦略を,世界銀行及び日本との比較から明らかにした.同時に,タイと中国の環境援助の事例を取り上げて,そのパフォーマンスの相違を,環境援助の言説,伝達戦略,受取国のオーナーシップの観点から検討した.そしてこの検討結果を論文として執筆し,英文学術雑誌に投稿した. 第2に,デンマークとドイツがヴェトナムで行ってきた環境援助の内容について,現地調査と統計分析,ドイツの援助専門家への聞き取り調査を通じて把握し,その特徴を考察した. 第3に,中国に対する環境援助の効果を検討する前提として,中国の環境政策の変遷と特徴を,財政面と先進国(及び国連環境会議)からの影響の観点から検討した.この結果,財政サイクルの各段階(中期財政計画・年次予算立案・予算執行・モニタリングと事後評価・歳入)で環境は考慮に入れられるようになっているものの,考慮のされ方は分断的で,かつモニタリングと事後評価からのフィードバックがほとんどないことから統合化は進んでいないこと,また環境援助は国家環境保護総局と国家発展改革倭員会の間での分断のために,統合的な政策の変化の駆動力にはなりにくくなっていることを明らかにした.そしてこの検討結果を,2010年7月にカナダ・モントリオールで開催された第4回環境資源経済学世界大会で報告した.
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Research Products
(1 results)