2009 Fiscal Year Annual Research Report
「資源の呪い」から持続可能な発展への転換を促す外資自主規制の役割に関する研究
Project/Area Number |
21710043
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
栗田 英幸 Ehime University, 法文学部, 准教授 (60335883)
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Keywords | 資源の呪い / 外資自主規制 / 民主制度 / 合意形成 / 援助・輸出信用 |
Research Abstract |
20年度は、前年度まで実施していた研究データを本研究テーマに沿って整理し、新たな比較対照として考えているモザンビークでのデータ収集のためのネットワーク作りに従事した。 データ整理では、不足データを補うためにフィリピンでヒアリングを中心とした調査を実施し、また、整理したデータをもとに2本の論文を書き上げ、その他、報告文書1本、学会報告1回も行った。 2本の文「開発のディレンマとしての『資源の呪い』」「鉱業」は、どちらも佐藤幸夫編『国際政治もの語り』(法律文化社から近刊)に掲載されている(近刊のため、研究発表の欄には記載していない)。また、学会報告では、「資源の呪い」を克服するために重要と思われる援助・輸出機関の新たなガイドラインについて、その可能性と課題を報告した。報告書については、早稲田大学アジア研究機構『東南アジアの開発、資源、紛争・テロ』(2010年3月)のなかで「鉱山開発と先住民族-ミンダナオ島の2つの事例から」を執筆し、多国籍企業の自主規制と現地法制度との齟齬の問題を明らかにした。特に、先住民族の慣習法と近代法制度との齟齬については、従来、「資源の呪い」理論で語られることがないのみならず、外資規制に関する分析でも十分踏み込めたものとはなっていなかったため、意義深いものである。また、昨年度中に改訂されたJICA、JBIC、NEXIといった援助・輸出信用機関ガイドラインの有効性や課題を公開された学術的場で議論するのは、報告者が知る限り、本報告が最初である。 他方、モザンビークでは、大統領も関係している愛媛大学とルリオ大学との大学間協定を利用して、鉱物資源省との連携作りを行っている。既にルリオ大学から大学を上げて本研究ヘサポートしてもらえる合意を作ることができ、次回以降に実施する調査地の選定も鉱物資源省との話し合いの中で進んでいる。
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