2010 Fiscal Year Annual Research Report
木質資源の炭素ストック効果を考慮した循環共生型住宅システムのエコバリュー評価
Project/Area Number |
21710046
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
村野 昭人 東洋大学, 理工学部, 准教授 (40356035)
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Keywords | 環境マネジメント / 炭素ストック効果 / エコバリュー / 木質資源 / 循環利用技術 / LCA / GIS / 環境効率 |
Research Abstract |
本研究課題では,森林が持つ公益的機能の中から注目度の高い洪水緩和,水資源貯蓄,二酸化炭素吸収機能について着目し,埼玉県の森林を対象として機能の貨幣評価を行った.評価方法として代替法を用い,各機能の代替財として,洪水緩和機能は治水ダム経費,水資源貯蓄機能は利水ダム経費,二酸化炭素吸収機能は二酸化炭素回収経費を用いた.その結果,埼玉県における森林の公益的機能の評価額は,洪水緩和機能が430億円,水資源貯蓄機能が362億円,二酸化炭素吸収機能が96億円という結果となった. さらに,森林を維持・管理することの重要性を検討するために,同様な機能を持つ構造物であるダムと費用対効果を比較した.年間便益は,ディスカウント・キャッシュフロー法によって算出した.比較した結果を表2に示す.埼玉の森林の費用対効果は8.4となりダムと比較するとかなり高い値となった.また,年間便益もダムの約2倍という結果となった. 今後の課題として,評価対象とする森林の機能を拡大し,景観価値や文化的価値といった社会への貢献度についても評価することや,公共建築の木造化施策について市街地の建築物におけるCO2貯蔵量の推移を考慮して評価することが挙げられる. さらに,本研究で構築しつつあるGISデータベースを用いて,水処理技術システムを導入した場合のCO2排出量について熊本県を対象として分析した.その結果,下水道システムに由来するライフサイクルCO2排出量においては管渠建設段階が大きな割合を占めることが分かった.さらに人口密度が環境効率を左右する大きな要素であることが明らかとなった.具体的には,人口密度350人/km2以上の自治体には下水道システムを導入し,それ以下の自治体には浄化槽を導入した場合年間472kt-CO2,汚濁負荷除去量あたりでは17.9t-CO2/tとなり,最も環境負荷が小さいことがわかった.
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Research Products
(3 results)