2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会における交通部門のCO2排出減少プロセスに関する研究
Project/Area Number |
21710047
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
岡田 啓 東京都市大学, 環境情報学部, 講師 (40450762)
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Keywords | 高齢社会 / GHG排出減少 / 環境クズネッツ曲線 / 実証分析 |
Research Abstract |
本研究では、高齢化率の上昇が交通起因のCO_2排出量へ如何なる影響を与えるのかそのメカニズムを定量的に把握し、今後の交通部門CO_2排出削減政策へのインプリケーション、持続可能な社会実現に向けた政策へのインプリケーションを導き出すことを目的としている。 上記の研究目的を達成するための第二ステップとして、昨年度に整備をしたデータベースに基づき、一人当たり交通部門CO_2排出量と高齢化率、一人当たり所得、燃料価格に関する計量モデルを構築し、実証分析を実施した。環境クズネッツ曲線の仮説を検証することもできる計量モデルを構築した。実証研究の結果、一人当たり交通部門CO_2排出量と高齢化率は、山型(二次)の関係があることが判明した。転換点の水準は、高齢化率で16~17%であった。他方、一人当たり交通部門CO_2排出量には環境クズネッツ曲線の仮説は成立しないことが判明した。この結果を論文としてまとめ、the 29th USAEE/IAEE North American Conferenceにて発表を行った。そして、現在、論文を学術雑誌に投稿中である。 また国土交通省の「自動車輸送統計年報」や自動車検査登録協会の統計データを集め、データベースを整備した。このデータを用いて、1987年から2007年における日本の交通部門CO_2排出の要因分析を実施した。分析の結果、この分解結果より日本の交通部門のCO_2排出は大きく2つの期間、2001年までと2002年以降の2つに分けられることが判明した。前者においては燃費の悪化、乗用車の保有台数の増加がCO_2排出増加要因となっており、後者においては燃費の改善と乗用車の一台当たり走行距離の低下が減少要因となっていたことが明らかになった。2011年度には、データベースを利用して、高齢化率の上昇が交通起因のCO_2排出量の如何なる要因に影響を与えるのか分析する予定である。
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Research Products
(1 results)