2009 Fiscal Year Annual Research Report
産業連関分析に基づく物質フロー解析と可視化手法に関する研究
Project/Area Number |
21710048
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 康之 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (80313584)
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Keywords | 物質フロー勘定 / MFA / 環境分析 / 経済統計学 / 産業連関表 / 三角化 |
Research Abstract |
本研究は,産業連関分析と物質フロー解析,その結果の可視化手法の開発,開発した手法を適用した応用研究を行うことを目的とする。計画初年度である今年度は,可視化手法として,産業連関表を三角化するためのアルゴリズムの開発を行った。さらに,事例研究として,廃棄物産業連関に基づく物質フロー解析(WIO-MFA)により推計された物量産業連関表(PIOT)を三角化して考察を行った。 産業連関表の三角化問題(行列の下三角要素和を最大化するような産業部門の序列を求める組合せ最適化問題)は,NP困難な問題のクラスに属することが知られている。そのため,これまでに提案されたアルゴリズムのほとんどは,効率的に最適解を近似的に求めようとするものであった。それに対して,本研究では,三角化問題を整数計画問題として表現し,整数計画問題のための普及した一般的アルゴリズムを適用する方針でアルゴリズムの開発を進めている。これは,三角化問題に特化したアルゴリズムではないため,効率性の点で既存のアルゴリズムに劣る可能性がある。他方,経済学あるいは環境分析の観点から問題を拡張したり修正したりすることが容易であるという利点がある。実際,開発したアルゴリズムを,平成2年-7年-12年接続産業連関表の投入係数行列に対して適用し,これまでに三角化に関する先行研究の中で指摘されてきたが,三角化問題を数理計画問題として捉える文脈の中で注意が払われなくなっていた重要な観点から,三角化問題を拡張したり修正したりできることが確認された。 事例研究として,WIO-MFAの手法により金属の種類別に推計されたPIOTを三角化したところ,金属の種類ごとの物質フローの類似・相違を示唆する産業部門の序列が得られた(成果を国際産業エコロジー学会において発表した)。
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Research Products
(1 results)