2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710051
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
堀内 史朗 Meiji University, 研究・知財戦略機構, 研究員 (90469312)
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Keywords | 都市山村交流 / コミュニティ / 社会関係資本 / 民俗芸能 / エージェント・ベース・モデル / 仲介者 / 観光 / よそ者 / はて |
Research Abstract |
互いに異質な人々が協調的な関係を築く条件を明らかにするために、都市山村交流に関する事例調査と、計算機を用いたエージェント・ベース・モデルによるコミュニティ形成の予測を本年度は行った。 宮崎県高千穂町で伝わる夜神楽に、都市住民と山村住民がどのように関わっているかを参与観察と文献調査によって調べた。大量にやってくる一見の観光客は公民館、リピーターである少数の観光客は民家で開催される夜神楽に来る傾向が高い。高千穂町内の19地区で神楽を行っているが、公民館か民家の選択は、ほぼ地区ごとに固定して年によってあまり変わらない。このように、タイプの異なる観光客を振り分ける仕組みができあがっていることで、大量の観光客が訪れるにもかかわらず伝統文化の真正性が失われないでいるメカニズムを明らかにした。 計算機を用いたエージェント・ベース・モデルを作成し、互いに異質なエージェントを繋ぐ仲介者の働きについて考察した。各エージェントは、様々な属性について固有の性質を持つ。トーラス上に並んだ隣接するエージェントが相互作用をし、性質が一致する属性が多いほど仲良くなりやすい。性質が一致する属性が一つしかなくても仲良くなろうとする丁重なエージェントと、性質が一致しなければ別の場所へ移動しようとするエージェントを考え、どちらのタイプのエージェントが大きなコミュニティの形成に貢献するか調べた。属性の数に比して性質の数が多い場合、相互作用する時間が長い場合、エージェントが多様な他者との関係を望んでいる場合には、丁重ではなく移動するエージェントが活躍することが分かった。
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