2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用に向けた放射線耐性細胞のin vivoにおける総合的解析
Project/Area Number |
21710055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 義和 Tohoku University, 加齢医学研究所, 助教 (00392225)
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Keywords | 臨床的放射線耐性細胞 / 抗がん剤 / ABCトランスポーター |
Research Abstract |
本研究の目的は、放射線耐性を獲得した細胞の特徴を理解して、より有効な放射線療法を開発することである。報告者は、標準的な放射線療法で用いられている2Gy/dayのx線を照射し続けても増殖し続ける臨床的放射線耐性細胞の樹立に成功している。本年度は、抗がん剤との交差耐性から放射線耐性のメカニズムを明らかにし、さらに放射線耐性細胞に有効な抗がん剤を探索する目的で、化学療法で広く使われている白金製剤(cisplatin)、植物アルカロイド(docetaxel、etoposide、vincristine)、抗がん性抗生物質(bleomycin、adriamycin)、ピリミジン系代謝拮抗剤(5-fluorouracil)を用いて、その有効性を検討した。検討方法は、報告者らが最近開発したHigh density survivalassayにより行った。その結果、臨床的放射線耐性細胞は予想に反してDNA2本差切断を誘発する抗がん剤に交差耐性は示さず、微小管を標的とするdocetaxel及びvincristineに交差耐性を示すことが明らかとなった。これらの抗がん剤耐性に関与していると考えられているABCトランスポーターのmRNAの発現を調べたところ、親株及びその放射線耐性株において顕著な差は見られなかった。beta-tubulinの過剰発現または突然変異がこれらの抗がん剤耐性に関与しているとの報告があることから、今後は放射線耐性細胞においてこの点を解析していく予定である。
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