2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答を制御するFANCJ蛋白質の脱リン酸化酵素の同定
Project/Area Number |
21710057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨田 純也 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 研究員 (50511367)
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Keywords | DNA損傷応答 / Fanconi貧 / リン酸化 / 脱リン酸化酵素 / DNA修復 |
Research Abstract |
我々は、最近ファンコニ貧血遺伝子FANCIが、放射線などによるDNA損傷ないし複製ストレスを受けた細胞においてリン酸化され、モノユビキチン化された後すみやかに脱リン酸化されることを見いだした。FANCIリン酸化はFANCD2のモノユビキチン化の分子スイッチであり、その脱リン酸化は、ファンコニ貧血経路によるDNA損傷チェックポイントとDNA修復を制御する重要なイベントと考えられる。本研究においては、FA経路活性化に関わる脱リン酸化酵素の分子種を同定し、その脱リン酸化の制御がどのように行われているか、明らかにする。 本年度は、FANCI脱リン酸化酵素候補のsiRNAによるノックダウンによる検討を行った。PP1、PP2A、PP2Cdelta、PP4、PP5等の遺伝子をFANCI脱リン酸化酵素の候補として、ヒト細胞株でsiRNAによるノックダウン法をおこない、DNA損傷処理後、FA経路活性化の抑制を検証したところ、PP2Aにおいて顕著なFANCD2活性化の抑制がみられ、PP2AがFA経路において重要な役割を行っていることが明らかとなった。また、より広範に脱リン酸化酵素の役割を探るため、30種類を超えるsiRNAにより各種セリンスレオニン特異的脱リン酸化酵素のノックダウンを行い、スクリーニングしたところ、PP2AについてはFA経路の抑制に大きな効果を再現性よく認めたが、他の脱リと酸化酵素の関与ははっきりしなかった。また、PP2Aのregu!atory subunitであるPPP2R5DのノックダウンでFA経路活性化に顕著な抑制効果が見られた。今後、PP2AとPPP2R5Dの役割を、ATR活性化、FANCIリン酸化の各レベルにおいて検討する。
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