2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発乳がんに関連する遺伝子・マイクロRNAの三次元培養実験系での再構成
Project/Area Number |
21710058
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯塚 大輔 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00455388)
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Keywords | 三次元培養 / 放射線発がん / マイクロRNA |
Research Abstract |
放射線はゲノムの突然変異を引き起こすことにより腫瘍化を引き起こす発がん因子として古くから知られているが,胸腺リンパ腫などごく一部の腫瘍を除き,未だ放射線被ばくによる発がんメカニズムは明らかとなっていない。そこで本研究では,放射線誘発乳がんでの発現異常が示唆されている遺伝子・マイクロRNA(miRNA)に着目し,乳腺の発達とともにみられる乳管構造形成やがんの初期段階を構築できる三次元培養実験系を用い,その異常を乳腺上皮細胞に再現することにより乳腺のがん化に寄与するか検討する。本年度はヒト培養細胞より抽出したcDNAを用い,p16遺伝子のクローニングを行い,発現ベクター(pcDNA6.2N/EmGFP, Invitrogen)に組み込んだ。前年度に確立した三次元培養をマイクロRNAの発現調節をおこなったヒト乳腺株化細胞MCF-10A細胞においておこなったが,形態学的に有意な変化を見出すことはできなかった。以上の事から,当初推測していたラット放射線誘発乳がんに特徴的なマイクロRNAは乳管形成において有意な機能を有していないと推測された。一方で昨年度より行っているラット放射線誘発乳がんに特徴的なマイクロRNAの機能に関して,乳がん細胞株ならびに乳腺上皮細胞株を用い検討を行ったところ,乳がん細胞株においてmiR-194の発現を阻害すると細胞増殖が抑制され,一方で乳腺上皮細胞株において発現を増加させると細胞増殖が亢進することを見出した。
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