2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブラッグピーク近傍の重粒子イオンを用いたイオン特異的な生物効果の研究
Project/Area Number |
21710065
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
小西 輝昭 独立行政法人放射線医学総合研究所, 研究基盤センター, 研究員 (70443067)
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Keywords | ブラッグピーク / 重粒子イオン / 細胞致死 / DNA二本鎖切断 / 切断末端 / イオントラック |
Research Abstract |
CHO-K1細胞に重粒子線がん治療装置HIMAC-MEXPコースに導入される6MeV/n低エネルギーな重粒子線を照射し、1)細胞致死効果測定、2)誘発されたDNA二本鎖切断(DSB)の末端構造の解析、3)DSB誘発率の測定、4)DSB修復過程について解析を行った。1)細胞致死効果については、C、O、Neイオンのブラッグカーブに沿って、細胞致死の作用断面積σの取得を完了し、Oイオンのブラッグピークに最も近い位置(LET:1000keV/um)において最大を確認した。Cイオンのブラッグピークでの測定したσに対しておよそ1.5倍であった。2)放射線誘発DSBではほとんど生成されないといわれていたDSB末端3'OHが、Arイオンの飛跡に沿って生成されることをTUNEL法を用いて確認した。細胞核内イオントラックを可視化することに成功した。またC,O,Neでは確認できないことから、切断末端構造はイオントラック構造を反映していると考えられた。3)DSB数は、パルスフィールドゲル電気泳動法を用いて測定した結果、C、Ar、Feイオンのブラッグピークでは1イオン通過によって20~50個程度のDSBが生成される推定した。4)また、PFGE解析では、硬X線照射12時間後では断片化したDNA量が照射直後の20%程度であるのに対して、Cイオンのブラッグピークでは、照射後24時間経ってもその量的変化は確認されなかった。DSB部位をγH2AXを指標に免疫蛍光染色した結果では、12時間後まではγH2AX部位は消失せず、損傷部位移動・集積が進行していることは確認した。
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