2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン系農薬の生殖毒性及び内分泌系臓器におけるターゲット分子の同定
Project/Area Number |
21710069
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣澤 成美 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (40327060)
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Keywords | 有機リン系農薬 / 生殖毒性 / プロテオーム |
Research Abstract |
有機リン系化学物質は殺虫剤として広く使用されており、特にフェニトロチオンはスミチオンの商品名で販売されホームセンター等でも購入できる。フェニトロチオンはラジコンヘリによる空中散布で通常より高い濃度で使用され空気中に滞留することから、小中学校等に隣接した農地での使用が問題となっている。フェニトロチオンを長期に曝露した場合、神経系に様々な症状を引き起こすことが知られている。また近年、抗アンドロゲン作用が指摘されており、内分泌ホルモン系の動態に及ぼす影響が懸念されている。21年度における本研究では、有機リン系農薬であるフェニトロチオンについて、4週齢の雄ラットを用いて0.1、1、10mg/kgの濃度別の曝露実験を行い、非投与群との比較実験を行った。8週間(計40回)の投与終了後に全てのラットを解剖し臓器の重量を比較した。投与開始日から終了時における各群の体重増加量は、統計学的な有意差はみられなかったが、投与群における増加が大きくなる傾向がみられた。また解剖の結果、精巣や下垂体の重量に差がみられなかったが、肝臓、副腎の重量において非投与群との間に有意差がみられた。また、曝露による血中内分泌ホルモン濃度変動をELISA kitを用いて測定した結果、LH、FSH、テストステロン、プロゲステロンの血清中濃度においても非投与群との間に有意差がみられた。これらの結果から下垂体と副腎から可溶性タンパク質を抽出し、二次元電気泳動を行い得られたゲルの画像解析を遂行した。現在、各投与群において非投与群と比較し発現量が増減したタンパクスポットをMALDI-QIT-TOF-MSを用いて解析し、フェニトロチオンの影響による雄ラットの内分泌系臓器への作用機序を検討している。
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