2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機リン系農薬の生殖毒性及び内分泌系臓器におけるターゲット分子の同定
Project/Area Number |
21710069
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣澤 成美 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40327060)
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Keywords | 有機リン系農薬 / 生殖毒性 / プロテオーム |
Research Abstract |
有機リン系化学物質であるフェニトロチオンは殺虫剤として広く使用されている。長期に曝露した場合、神経系に様々な症状を引き起こすことが知られている。また近年、抗アンドロゲン作用が指摘されており内分泌ホルモンの動態に及ぼす影響が懸念されているため、本研究を遂行した。 当該年度においては、前年度に行ったフェニトロチオン投与実験と同様に若齢期にあたる4週齢の雄ラットを用いて0、0.1、1、10mg/kg各20匹の曝露実験を遂行し、さらにプロテオーム解析におけるフェニトロチオンの影響をより明確に検証するため、新たに30mg/kg投与群を加え、非投与群との比較実験を行った。投与終了時における各群ラットの体重は、非投与群と比較し30mg/kg投与群では有意な減少がみられたが、他の投与群では有意差はみられなかった。解剖の結果、30mg/kg投与群において左・右の副腎重量が有意に増加したが、10mg/kg投与群では前年度と同様に左の副腎で減少した。脳下垂体重量については、30mg/kg投与群で増加がみられた。ラットの場合、雌は雄と比較し副腎、脳下垂体重量が重いことが知られ、また副腎はストレスが加わることで肥大することから、明らかに脳下垂体-副腎機能系に影響を及ぼしていることが示された。各投与群と非投与群の血中内分泌ホルモン濃度変動をELISA kitを用いて測定した結果、FSH、テストステロン、プロゲステロンの血中濃度において非投与群との間に有意差がみられた。特にテストステロン濃度は投与量1、10、30mg/kgの増加に伴い血中濃度が高くなることが示された。これらの結果から脳下垂体と副腎の可溶性タンパク質を抽出し、二次元電気泳動を行い得られたゲルの画像解析を遂行した結果、非投与群と比較し各投与群において共通に発現量が増減したタンパク質スポットを複数発見し同定することができた。
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