2009 Fiscal Year Annual Research Report
表面促進レーザー脱離イオン化質量分析法を応用した新規有害物質生物検定法の開発
Project/Area Number |
21710070
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青木 元秀 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 助教 (30418917)
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Keywords | 環境分析 / 質量分析法 / 環境評価 / バイオマーカー |
Research Abstract |
環境試料中の有害物質をSELDI-MS法により同定・検出する技術開発を達成するために、当該年度の研究実施計画に従って、「(1)環境指標生物のSELDI-MSによる生体物質プロファイリング法の確立」、および「(2)有害物質への応答プロファイルの収集」を実施した。 (1)環境指標生物のSELDI-MSによる生体物質プロファイリング法の確立 緑藻ChlorellaおよびシアノバクテリアSynechocystisをモデル生物として重金属応答タンパク質プロファイリング条件の検討を行った。開発した標準分析法を用いて、重金属であるタリウムへの生体応答プロファイルを実行し、被検物質の違いを反映する応答を捕らえるかについて評価した。分析条件を最適化することによりタリウムストレスを十分に検出できる分析法を確立した。 (2)環境指標生物のタンパク質組成における既知の有害物質への応答パターンの収集 確立した標準分析法に従って、タリウム、クロムおよびコバルトへの生体応答プロファイルの収集を行い、化学物質応答プロファイルから物質同定に有用なタンパク質バイオマーカーの候補を探索した。現在、見出された環境指標バイオマーカー候補に関して、その検出特異性と感度観点から評価し、選抜しているところである。 当該年度に見出した新規の環境指標バイオマーカーは、様々な有害物質の生理作用を一斉に検出する新規のバイオアッセイ手段を開発する上で核となるリソースであり、本研究により開発される分析方法は、未知の環境汚染物質の探索・リスク評価法の確立や環境ストレス因子による生体への負荷の診断等への応用展開への布石して、化学物質のリスク評価管理の効率的な実施に貢献する技術へと発展できる可能性がある。
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