2011 Fiscal Year Annual Research Report
表面促進レーザー脱離イオン化質量分析法を応用した新規有害物質生物検定法の開発
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21710070
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青木 元秀 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30418917)
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Keywords | 環境分析 / 質量分析法 / 環境評価 / バイオマーカー |
Research Abstract |
表面エンハンス型レーザー脱離イオン化質量分析(SELDI-MS)法を、環境中の有害物質を特定する手段として応用し、化学物質のリスク評価管理の効率的な実施に資する技術へと発展させることを目的に技術開発を行った。昨年度までに、 SELDI-MS法により環境指標生物である微細藻類のタンパク質組成の重金属応答パターンの収集が可能であることの実証を終えており、その中から環境中の重金属を検出・評価するためのバイオマーカー候補を複数選抜することに成功している。そこで本年度は、環境評価バイオマーカーを利用した有害物質同定データベースの構築と有害物質の検出・同定法の開発と検討を行なった。有害物質同定データベースの構築の為に、ラン藻のタンパク質の応答パターンについて、その暴露物質、プロファイリングアッセイ条件、各タンパク質の質量電荷比および増減量に関するデータのテーブル化を行い、このデータセットを基にしたデータベースを構築した。これをもとに発現量比較解析を行った結果、異なる重金属の暴露が同一のタンパク質の発現量変化をもたらす事例も数多く検出され、単一のバイオマーカーを指標とした有害物質の同定は擬陽性や誤判定を招く恐れがあることが明らかとなった。そこで、複数のパラメータの挙動から暴露物質ごとの特徴を捉えて分別することを目的に、主成分分析法による3Dスコアプロット解析を行った結果、各々の暴露物質をプロット上で判別することに成功した。さらに、判別に寄与しているバイオマーカーの組み合わせをローディングプロット解析により抽出できた。このように、SELDI-MS法により環境指標バイオマーカーを組み合わせて検出する環境中の有害物質を一斉かつ迅速に検出するバイオアッセイ手段を開発した。以上の分析手法は、化学物質のリスク評価管理の効率的な実施に利用できると思われる。
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Research Products
(8 results)