2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系バイオマスの酵素分解によるリサイクルモデルの構築
Project/Area Number |
21710086
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
森芳 邦彦 Osaka Municipal Technical Research Institute, 研究員 (30416367)
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 酵素 / バイオマス / 糖 / 微生物 |
Research Abstract |
セルロース系バイオマスであるセルロースアセテート(CA)の廃棄物を資源として有効利用するため、部分分解後この分解生成物を有効利用する技術の開発を目指す(CAのリサイクルモデルの構築)。今回はCA分解生成物を効率良く調製しこれを有効利用するため、CA分解活性が高く安定な酵素を大量調製することを試みた。好熱菌由来の酵素は耐熱性があると推測されるが、CA分解活性は低い可能性もある。そこで今回は、CA分解菌Neisseria sicca SB由来のCAエステラーゼの大量生産を試みた。この酵素は比較的活性が高いがその生産量は少ないので、大腸菌でこの酵素を生産し性質を調べた。 CA分解菌由来のCAエステラーゼは触媒部位と糖質結合部位からなることをその相同性から推定している。2種類の組換え体CAエステラーゼ(A:[触媒部位+糖質結合部位]、B:[触媒部位])について遺伝子組換えを行い、大腸菌で発現させ、精製した。SDS-電気泳動での分子量およびN末端アミノ酸配列の結果から、CAエステラーゼ遺伝子の発現が確認できた。次に速度パラメーターについて調べた。2種類の組換え体CAエステラーゼの値はCA分解菌が生産したものと同等だったことから、CA分解菌のものと同等のCA分解活性を持っていることが確かめられ、またその触媒部位は、酵素活性からも確認できた。またセルロースに対する吸着性について調べた結果、本酵素の糖質結合部位はセルロースへの吸着能があることを明らかにした。今回大腸菌で組換え体CAエステラーゼを生産することで、培養期間は7日間が2日間に短縮でき、また培養液あたりの酵素活性は約4倍に向上でき、この生産系を用いてより効率よく酵素生産できると考えられた。 今後、CAを酵素で処理し分解生成物を得る。次にこの生成物の変換を行い、化学工業の原料となるような有用物質の生産を試みる。
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