2009 Fiscal Year Annual Research Report
石油依存からの脱却:強酸イオン液体が主導するセルロースのエネルギー変換
Project/Area Number |
21710089
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
北岡 賢 Oita University, 工学部・応用化学科, 研究員 (50457602)
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Keywords | イオン液体 / バイオマス / セルロース / 酸触媒 / 二相系反応 |
Research Abstract |
本年度は強酸イオン液体の合成、物性調査、更にはイオン液体/有機溶媒二相系によるセルロース分解反応を行った。通常、セルロースを塩酸で処理した時のみフラン化合物、5-(クロロメチル)フルフラールが生成する。そこで、対アニオンに塩化物イオンを有する酸性イオン液体を数種類合成した。カチオンにはスルホン酸を有するイミダゾリウム、カプロラクタムの塩酸塩、メチルイミダゾールの塩酸塩などを合成した。これらイオン液体の合成と並行して、合成したイオン液体の物性を調査した。これらイオン液体のうち、スルホン酸基を有するイオン液体は融点が高く、室温では固体であった。しかし、融点は何れも反応温度80℃より低く、反応に使用できる程度であった。また、他のイオン液体は室温で液体状態を示した。粘度に関しては、何れのイオン液体も非常に高かった。しかし、反応温度80℃では十分な流動性を示すことが明らかとなり、反応への使用に支障をきたさないと考えられる。そこで、これら合成したイオン液体をイオン液体/有機溶媒二相系によるセルロースの分解反応に使用した。スルホン酸を有するイオン液体を用いた場合、反応性が強すぎ、フラン化合物は生成しなかった。また、イミダゾリウム塩酸塩[Hmim][Cl]、カプロラクタム塩酸塩[CP][Cl]を用いた反応の場合、酸性度が低く、反応が進行しなかった。この時、[Hmim][Cl]がセルロースを高濃度で溶解する事が分かった。そこで、[Hmim][Cl]にセルロースを溶解し、酸触媒として濃塩酸を用いてセルロースの分解反応を行った。濃塩酸を25vol%加えると、目的化合物5-(クロロメチル)フルフラールが30%の収率で得られることが明らかとなった。また、この化合物は室温下でエタノールと混合することで、定量的にエネルギー物質である5-(エトキシメチル)フルフラールに変換することができた。
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Research Products
(4 results)