2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21710092
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
但馬 敬介 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (90376484)
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Keywords | 有機電子デバイス / 有機太陽電池 / 界面構造 / 電子材料 / 表面偏析 / 有機トランジスター / 多層膜 / 移動度 |
Research Abstract |
有機電子デバイスにおいては、有機物/金属などのヘテロ界面における電荷の移動は重要な役割を担っている。例えば、界面を横切るような電極と有機物間の電荷注入はほぼすべての有機電子デバイスにおいて必要とされ、注入効率はデバイス性能に直結する。また、有機電界効果トランジスタ(OFET)において電荷が輸送される領域は、誘電膜との界面のごく近傍(ほぼ単分子層)であり、界面の影響を非常に大きく受ける。これらの界面の改変は多くの場合、金属酸化物などのバッファ層の挿入によって行われている。しかし、多層化は製造プロセスの複雑化を意味するため、有機デバイスの持つ低コスト化などの利点を損なうと考えられる。そのため、自己組織化プロセスを利用して多層膜を簡便に形成することが求められている。 本研究では、新たに開発した薄膜転写法を用いて、半導体ポリマーの溶液塗布プロセスにおいて生成した気/液界面における自発的な構造形成を用いて、高度な規則性を持つ界面を電界効果トランジスターの電荷輸送層として利用した。その結果、電荷の移動度およびデバイスの印加電圧に関する安定性が大きく向上することが示された。さらに、この手法と表面偏析膜の組み合わせを用いて、制御された電子ドナー/アクセプター界面を形成することで、2層型ポリマー太陽電池に置ける電荷分離界面とデバイス性能との相関について検討した。その結果、界面に形成するダイポールモーメントの大きさによって、デバイスの開放電圧が大きく変化することが示された。この結果は、界面構造の制御によって有機太陽電池の性能を向上できる可能性を示したといえる。
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