2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規な酸化物清浄表面作製法in-situ固相成長法とSTMへの適用
Project/Area Number |
21710096
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
中尾 祥一郎 Kanagawa Academy of Science and Technology, 重点研究室透明機能材料グループ, 研究員 (50450771)
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Keywords | 表面・界面物性 / STM / 酸化物 / 薄膜 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究は非晶質薄膜をSTMチャンバーで通電過熱、結晶化させる事でSTM測定に耐えうる清浄表面をin-situで準備するというものである。 平成21年度は基本的なアイデアの検証に取り組んだ。まず固相成長を行なっていない非晶質のNbO2薄膜のSTM測定を行い、実際にAFM測定や抵抗率測定と矛盾の無い表面トポグラフとトンネルスペクトルが得られる事を確認した。しかしながら当初の予想通り、一度大気に暴露されている事を反映して原子分解能を得る事は不可能であった。現在、通電加熱を用いた結晶化による表面準備条件の最適化を行なっている。 なお当初はNbO2薄膜はガラス基板に作製すると結晶粒径は大きいが、配向はランダムな多結晶であると考えられていた。しかしながら成膜条件を最適化するとガラス基板上(110)配向膜が作製できることを見出した。ルチル構造をとる酸化物(TiO2,SnO2)が一般的には(110)が最安定面であることが良く知られている。ルチル構造をとるNbO2も同様に(110)が最安定面である事が予想され、表面の自由エネルギーの利得が(110)配向をもたらしていると考えられる。この結果は配向が重要な様々な機能性薄膜の作製が安価なガラス基板で可能になる事を示唆する物であり興味深い。現在NbO2をテンプレートとしてルチル構造であるTiO2,SnO2,VO2の作製を検討している。 平成22年度は引き続きNbO2の測定を行なう。表面準備の最適化が完了次第、STM測定に取り組む。
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