2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規な酸化物清浄表面作製法in-situ固相成長法とSTMへの適用
Project/Area Number |
21710096
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Research Institution | 財団法人神奈川科学技術アカデミー |
Principal Investigator |
中尾 祥一郎 (財)神奈川科学技術アカデミー, 重点研究室透明機能材料グループ, 研究員 (50450771)
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Keywords | 表面・界面物性 / STM / 酸化物 / 薄膜 / ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究は非晶質薄膜をSTMチャンバーで通電過熱、結晶化させる事でSTM測定に耐えうる清浄表面をin-situで準備するというものである。 平成22年度はNbO2試料作製条件の最適化に取り組んだ。その結果、Nb2O5ターゲットを用いるとNbO2が得られる最適酸素分圧範囲はかなり狭く、かつ成膜装置の背圧に非常に強く影響を受ける事が分かった。そこでNbO2ターゲットを用いると最適酸素分圧の制御性があがり、背圧の影響を受けにくくなった。また最適酸素分圧においては(110)配向を示すが、そこから条件がずれることでランダム配向に変わることを見出した。 またこの(110)配向およびランダム配向NbO2をテンプレートとして他のルチル構造の機能性薄膜(Ta:SnO2透明導電膜,Co:TiO2透明強磁性薄膜)の作製に取り組み、NbO2がシード層として有効に働くことや、その配向がNbO2層によって制御出来ることを見出した。これらの結果は、ガラス基板等の非晶質の基板上で配向の制御された機能性薄膜を作製する事にNbO2が有効な物質である事を示すものである。 本来の目的であったSTM/STS測定は装置を他の研究と共有している都合から十分なマシンタイムが確保できず、本手法の有効性を確認することは研究期間中は達成出来なかった。今後、最適化されたNbO2薄膜を用いて取り組む予定である。
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