2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化有機ナノ構造による新奇量子状態の実現と制御
Project/Area Number |
21710097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金澤 研 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (60455920)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 自己組織化 / 物性実験 |
Research Abstract |
本研究では、金属表面上の有機分子自己組織化単分子膜によって形成される低次元電子状態を分子修飾によって制御することを目的とし、主に銅基板上のアミノ酸分子を対象にSTM測定を行っている。最も単純なアミノ酸であるグリシン分子をCu基板へと吸着させた場合、大きな分子基板間相互作用により新たな電子状態が形成される。このような状態が、グリシン分子を基本として主鎖および側鎖を修飾していくことにより、どの様に変化するかを詳細に解析し、修飾の効果を単一官能基レベルで明らかにする。 昨年度は、研究室所有の極低温超高真空STM装置に有機分子蒸着装置を設置するためにベークパネルの改造を行うとともに、主にCu基板上のβ-アラニンおよびα-アラニンのラセミ混合蒸着膜に対し実験を進めた。その結果、β-アラニンを用いることで、分子膜/Cu(100)基板界面に形成される二次元電子状態が、グリシンのときと異なる分散関係を有することを明らかにした。これは分子修飾によって二次元電子状態を人為的に変化可能であると示唆する結果である。一方、Cu(111)表面上にラセミ混合のα-アラニンを蒸着したとき、分子は基板上で自己組織化的に同じキラリティー同士で集合し、グリシンと同様の網目構造を形成することを発見した。さらに、Cu(111)表面上に形成されるグリシンの自己組織化構造がC_<60>分子の孤立吸着に対するテンプレートとしての機能を有することを明らかにした。これらの結果は有機分子の自己組織化を利用することによりさらに高次な機能性構造を作製できる可能性を示唆する結果であり、今後研究を進めることにより、上記目的を達成するための有用な知見が得られるものと期待される。
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Research Products
(8 results)