2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化有機ナノ構造による新奇量子状態の実現と制御
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21710097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金澤 研 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (60455920)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 自己組織化 / 物性実験 |
Research Abstract |
本研究では、金属表面上の有機分子自己組織化単分子膜によって形成される低次元電子状態を分子修飾によって制御することを目的とし、主に銅基板上のアミノ酸分子を対象にSTM測定を行っている。最も単純なアミノ酸であるグリシン分子をCu基板へと吸着させた場合、大きな分子基板間相互作用により新たな電子状態が形成される。このような状態が、グリシン分子を基本として主鎖および側鎖を修飾していくことにより、どの様に変化するかを詳細に解析し、修飾の効果を単一官能基レベルで明らかにする。 昨年度は、超高真空STM装置に分子線蒸着装置を設置し、主にCu(100)基板上のα-アラニン、β-アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、アミノ安息香酸(オルト、パラ配位)、Cu(111)基板上ではグリシン分子が形成する自己組織化ナノ網目構造を対象に実験を行った。Cu(100)での実験ではグリシンと同様に吸着分子がp(2×4)構造を形成するときにのみ、界面でグリシンとは異なる分散関係をもつ二次元電子状態(2DEG)が形成された。この結果は2DEGの形成には基板上での各官能基の配置関係がきわめて重要であることを示唆している。一方、グリシン/Cu(111)系では、ナノ網目構造上に孤立吸着したC_<60>単分子の状態をSTM励起によって変化させることに成功した。 以上の結果は、有機分子の自己組織化構造によって固体基板上の低次元領域に新奇な電子状態を形成・制御し、それを微小プローブによって単一分子レベルで変化させることができる可能性を示しており、将来、分子ナノデバイスへのさらなる応用が期待される。
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Research Products
(6 results)