2009 Fiscal Year Annual Research Report
光と物質波の理論研究:散逸量子多体系における微視・巨視のリンク
Project/Area Number |
21710098
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
金本 理奈 Ochanomizu University, お茶大アカデミック・プロダクション, 特任助教 (00382028)
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Keywords | 冷却原子 / 光共振器 / 光軌道角運動量 |
Research Abstract |
1.原子を用いた共振器電気力学において、原子の内部状態の遷移の他に外部自由度(重心運動)を取り入れる必要のあるケースが存在する。極低温では更に原子の量子統計性も関わってくるが、ここで通常はボース原子が想定されることが多い。そこで本研究ではこれまで考察されていなかったフェルミ原子を光共振器にトラップした場合を対象とした。低次の原子回折オーダーではフェルミ原子の密度揺らぎモードがあたかも"光共振器の可動端ミラー"のように振る舞うことを見出し、共振器光子と原子密度揺らぎモードの特徴的な相互作用を含む有効模型を世界で初めに提唱した。 2.超流動性と位相欠陥の関連を探るため、角運動量を持つボース気体の準安定励起状態における量子相転移を多角的に解析した。この模型の研究は50年前から様々な手法で行われているが、有限のサイズ系で角運動量を持つ気体の解析は存在しておらず、更に"マクロ"な手法(平均場理論)と"ミクロ"な手法(厳密解)で得られた断片的な知見を結びつけたことが本研究の意義と言える。 3.このような一定角運動量を持つ原子気体は、光の軌道角運動量を原子に与えることによって実験で生成することが可能である。その一つの応用として、猫状態にある軌道角運動量を持つコヒーレント光をボース気体に照射することにより、物質波に回転状態(永久流)と静止状態の量子力学的重ね合わせが生成されることを示した。
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