2010 Fiscal Year Annual Research Report
スペックル時間相関分光法で調べる強誘電ナノドメインの空間・時間相関
Project/Area Number |
21710099
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大和田 謙二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60343935)
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Keywords | コヒーレントX線 / スペックル時間相関分光法 / リラクサー / ペロヴスカイト / 強誘電ナノドメイン / 時空間相関 |
Research Abstract |
本研究は、鉛フリーの実現へ向け再度鉛ペロヴスカイトに立ち返りその物性発現の基礎を強誘電ナノドメインに着目して理解することを目的としている。我々はリラクサー強誘電体(1-x)%Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-xPbTiO_3(PZN-xPT)、(1-x)%Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-xPbTiO_3(PMN-xPT)を対象とし、原子力機構専用ビームラインBL22XUにおいてスペックル時間相関分光を行い強誘電ナノドメインの空間相関、時間相関の情報を得る事で、鉛リラクサー強誘電体の(1)強誘電ナノドメインと物性の関係、(2)強誘電ナノドメインが配列したときに現れる物性値向上の起源、(3)ドメイン配列の鍵となる要素、を明らかにすることを目的としている。(1)(3)は22年度中に明かになった。 H22年度は目的(2)に集中した。この一年、検出器系で効率が30倍ほど良くなり、また測定系全体の長時間安定化が実現できたことから、予定を少し変更し、試料は素性の明らかなPZN-xPTとして、特に低周波誘電応答(<MHz)で顕著な分散(誘電率増大)を示す温度領域(臨界点455K直上40Kの範囲)をターゲットとして詳細なスペックル時間相関分光を行った。結晶内部に発生するナノドメインの成長と相関の増大は臨界点より上の温度(Tc(455K)+5K)で最大を取り、その後収縮する。一方で母相は立方晶から正方晶へと相転移していた。つまり、このナノドメインの成長と母相の相転移が拮抗したところで大きな低周波誘電応答を出している事が分かった。 我々は、予定通りPMN-xPT系でも同様の実験をスタートさせており、良好なスペックル像を得る事に成功している。また、同様の実験手法を他の物質系にも展開することを計画している。電荷揺動を示す物質Eu_3S_4において既に実績を上げている。また反強誘電相転移を示すPb(In_<1/2>Nb_<1/2>)O_3においても同様である。
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Research Products
(5 results)