2010 Fiscal Year Annual Research Report
無機スイッチングデバイスの有機分子を用いた高機能化
Project/Area Number |
21710107
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 啓文 大阪大学, 理学研究科, 助教 (90373191)
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Keywords | 原子スイッチ / 光応答 / 人工眼球 / 高機能化 / 有機分子 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き光駆動原子スイッチのRGB化や回路化に取り組んだ。特に回路化では多数の光応答原子スイッチを配置して、既存の分子N,N'-Diheptylperylen-etetracarboxylicDiimideを用いて、光応答駆動が同時に起きるかどうかの試験を行った。多数のスイッチが同時に駆動できることから、これは微弱光のセンシングの増幅機構などに利用できる可能性がある。実際の試験では10個のスイッチング素子を並列に配置してその駆動を調べた。微弱な信号でもスイッチングが多くのデバイスで起きれば、その信号は増幅されることが期待される。このことにより将来の微弱光センシング技術発展に向けた大きな第一歩を踏み出すことができた。RGB化では合成をおこなった新規ペリレンジイミド誘導体を用いて、照射波長を変化させながらその応答様式を試験した。実際に行った実験では照射光の波長を400nm~700nm程度までの間で段階的に変化させその光応答の様子を調べることにより、光選択スイッチングの可否を確かめた。結果、波長600~700nmの光を照射したときに最も光応答電流が流れ、その他の領域ではほぼ光に対して反応しなかったためこの分子はRGBのうちR(赤色)検出素子原子スイッチとして利用できることが分かった。光応答原子スイッチをカラーセンシングに利用できる可能性は大きく増したと言え、つまり原子スイッチのRGB化の実現、すなわち人工網膜への応用は将来間違いなく実現されるであろうという結論に達した。以上の結果から本研究課題の目標はおおむね達成できたと言える。
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Research Products
(8 results)