2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁性架橋単分子が誘起する近藤共鳴状態のSTM装置による検出と制御
Project/Area Number |
21710111
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長岡 克己 National Institute for Materials Science, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (80370302)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / フタロシアニン分子 / 分子架橋 |
Research Abstract |
本研究では低温走査トンネル顕微鏡(STM)装置を用いて、ナノギャップ構造上に構築された磁性単分子架橋が誘起する近藤共鳴状態を検出し、架橋分子の電子状態・近藤温度を制御することを目的とする。本年度はまず、半導体から半金属・金属まで様々な電子状態をもつ下地表面上に吸着した磁性分子の基本的な性質を調べるため、フタロシアニン分子をSi(111)、Bi(001)、Au(111)などに室温で蒸着し、二つの異なる温度(77Kおよび4.6K)でのSTM観察を行った。例えば、Bi(001)上のフタロシアニン分子では環平面が下地表面と平行に吸着し、ナノドメインの単位胞はほぼ正方形で,分子配列には超構造も見られた。現在、走査トンネル分光(STS)測定を用いて近藤共鳴状態の検出を試みている。今後、Si(111)-√<3x>√<3>-Bi上のBi{012}薄膜のマルチドメイン問に形成されるナノギャップ構造を適用し、個々の分子位置のSTM探針による操作や自己組織化を駆使して磁性単分子架橋を実現した上で、近藤共鳴状態の検出とその温度依存性の評価を進めていく計画である。また並行して、現有のSTM装置にスピン偏極測定技術を導入するために、探針先端を反強磁性体Crで被覆する必要があり、その際、同測定の標準試料として知られるW(110)表面上のFe薄膜などを用いて予備実験を行い、被覆条件などシステムの調整・最適化を進める準備を行っている。
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