2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性架橋単分子が誘起する近藤共鳴状態のSTM装置による検出と制御
Project/Area Number |
21710111
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
長岡 克己 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (80370302)
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Keywords | 分子素子 / 銅フタロシアニン / STM |
Research Abstract |
分子素子の開発には機能分子の位置の制御技術が必要である。本研究は、分子素子の構築のために必要な、分子ナノドメインの凝集・拡散を制御できる方法を開発し、さらに、その動作メカニズムを解明することを目的とする。そして、本研究では、任意の位置でSTM探針に適当な電圧を印加することによって、機能分子のナノドメインを凝集・拡散させる技術を開発した。具体的には、Si(111)表面上に成長させたBi(001)薄膜に銅フタロシアニン(CuPc)を真空蒸着し、探針バイアスが負/試料バイアスが正のとき、探針直下にCuPc分子が島状に凝集し、探針バイアスが正/試料バイアスが負のとき、探針直下に島状に凝集していたCuPc分子が拡散することを見出した。これまでの、同様のSTM探針が誘起する電界による原子・分子操作については、2nm程度の狭い範囲でのみ凝集・拡散が制御できた報告、もしくは、凝集のみ100nmオーダーの範囲で制御できた報告しかなく、本研究において100nmオーダーの範囲で凝集・拡散が制御できた点は有用である。そして、その動作機構の解明を行うため、分子軌道計算を行ったところ、分子のSOMO軌道から下地に電荷移動が起き、表面ではCuPc分子は正電荷を帯びていることが示唆された。よって、分子ナノドメインの凝集・拡散制御は、正電荷を帯びた分子に対し、STM探針が誘起する電界によって引力や斥力が生じたためであると理解できる。
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Research Products
(1 results)