2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子デバイスを目指したナノコンポジット熱起電力測定素子の開発
Project/Area Number |
21710115
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 和大 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (70392610)
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Keywords | ナノ計測 / 熱起電力 / 熱電変換 / ナノコンポジット / 分子デバイス / ナノワイヤ |
Research Abstract |
本研究では、測定対象の分子に強電界などのストレスをかけずにその伝導性や電子構造を知る新しい分子デバイスとして、有機分子の熱起電力を測定する素子を構築することを目的としている。22年度は、サブミクロンのギャップ間隔を持つ微細電極間に、有機分子を架橋するためのナノコンポジットの作製条件を探索した。金ナノ粒子と絶縁体マトリクスのコンポジット化した薄膜を、スパッタリング法や、大気圧プラズマ堆積法などを用いて作製した。スパッタリング法で作製したナノコンポジットでは、十数nmの粒径の金ナノ粒子が分散した薄膜を微細電極間に堆積出来た。歩留まりは悪いものの、ナノ粒子間隔が最小2nm程度まで小さく出来ていた。しかしながら、当方で調製した有機分子を固定化しても、電流電圧特性に変化が見られなかった。これはナノ粒子間隔をさらに小さくする必要があることを示している。大気圧プラズマ堆積法は、比較的サイズの揃ったシングルナノ粒径のナノ粒子を孤立分散することが出来る手法であり、開発者の協力を得て、ナノ粒子間隔をさらに縮める実験に取り組んでおり、有機分子の測定の実現が近づいている。 前年度に確立した、微細電極加工技術(電子線リソの条件など)及び、交流法によるナノ構造体の微小領域の熱起電力測定法が、22年度に様々な半導体ナノワイヤの熱電特性評価に適用できることが分かり、レーザーアブレーションで独自に合成したボロンナノベルト構造体の1本の熱起電力と電気伝導率を測定することに成功した。その結果、ボロンナノベルトは従来の純ボロン結晶やアモルファスよりも高い熱電性能(パワーファクター)を持つことを見出した。これは、本研究課題によって完成した微細領域熱電計測システムによって、予想外の発展的な研究成果が得られたことを示しており、今後様々なナノ構造体の計測に適用していきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)