2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速1分子FRET計測によるEGFR構造変化ダイナミクス計測
Project/Area Number |
21710122
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 憲二 The Institute of Physical and Chemical Research, 佐甲細胞情報研究室, 研究員 (40402763)
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Keywords | 単一分子計測 / FRET / EGFR / 高時間分解計測 / 分子構造変化ダイナミクス |
Research Abstract |
上皮成長因子受容体(EGFR)分子の構造変化の1分子蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)観察実験の実現に向けた準備段階として予備実験を進めた。まず、タイムスタンプ計測蛍光顕微鏡装置および統計的データ解析法の検証をおこなった。ドナー-アクセプタ間距離の異なる複数の二重ラベルニ重鎖DNA分子を用意し、装置が十分なFRET検出能を有することを確認した。また、量子ドット試料の発光を、タイムスタンプ計測法およびデータ解析法の組み合わせにより解析し、当面の目標であった、ミリ秒以下の時間分解能が達成されたことを確認した。またそれらと並行して、実験に用いるEGFR分子の構築の準備を進めた。本研究では特に、細胞内ドメインに着目するため、細胞内キナーゼドメインからC-端まで、および、C-端近傍のC-tailドメインを切り出した分子を用意する。FRET計測実験を実現するためには、分子上の特定の2カ所に異なる色素分子を標識する必要があり、かつ、1分子レベルの構造変化ダイナミクスを阻害しないためには標識分子(の少なくとも一方)の分子量は小さく抑える必要がある。それらの条件を検討した結果、N-端へはアミノ反応基付きの色素分子をドナーとして修飾し、C-端へはReAsH色素分子を特異的に標識する設計とした。また、ドナーとして量子ドットを用いる構成にも対応できる設計とした。これまでに、設計したEGFR分子の発現・精製プロセスを複数回おこなっており、条件の最適化を進めることができた。平成22年度には、これらの装置・(およびデータ解析法)とタンパク分子とを用いて、1分子構造ダイナミクス計測実験を本格的に進めていく。
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Research Products
(1 results)