2010 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴レーザー光を利用した細胞内ナノマニピュレーション
Project/Area Number |
21710123
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細川 千絵 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (60435766)
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Keywords | 光ピンセット / ナノバイオ / 脳・神経 / 生物物理 |
Research Abstract |
本研究では、共鳴レーザー光を利用した新規光マニピュレーションにより、細胞表面や細胞内の特定分子のみを局所的に操作するナノマニピュレーション技術を開発する。蛍光解析と組み合わせ、細胞内の特定分子の拡散、会合、反応特性を明らかにりし、細胞内の高次操作技術への展開を図る。本年度は、(1)従来の光捕捉用レーザー光源である非共鳴レーザーに加え、共鳴レーザー光を同時に照射する顕微分光システムの構築、(2)蛍光色素含有ナノ粒子を用いた開発システムの特性評価、(3)実証実験に向けた培養神経細胞の蛍光イメージング系の構築に取り組んだ。(1)では、細胞の特定部位の操作および蛍光解析を可能とするため、現有の倒立顕微鏡に顕微鏡自動XYステージおよび共鳴用レーザー光源を導入し、細胞内の局所領域に2波長のレーザーを高精度に集光するための顕微分光システムを作製した。(2)に関しては、粒径40nmの蛍光性ナノ粒子水分散液にレーザー光を集光すると、共鳴レーザーの光強度の増大とともに集光領域内の粒子の滞在時間が遅くなることを蛍光強度の時間変化測定により確かめた。(3)に関しては、ラット海馬由来培養神経細胞を対象とし、細胞内分子動態のレーザー操作過程の蛍光解析を行うため、神経細胞の特定分子のみを蛍光標識することに成功した。具体的には、神経細胞の細胞接着分子NCAM抗体に量子ドットを結合し、蛍光標識を行うことにより生きた神経細胞の細胞表面における分子動態を一粒子レベルで追跡できることを示した。
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