2011 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴レーザー光を利用した細胞内ナノマニピュレーション
Project/Area Number |
21710123
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細川 千絵 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (60435766)
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Keywords | 光ピンセット / ナノバイオ / 脳・神経 |
Research Abstract |
従来の光ピンセット技術に共鳴レーザー光を組み合わせることにより、細胞表面や細胞内の特定分子のみを局所的に操作するナノマニピュレーション技術を開発することを研究の目的とした。蛍光解析と組み合わせることにより、細胞内の特定分子の拡散、会合、反応特性を明らかにし、細胞内の高次操作技術への展開を図る。本年度は、神経細胞内の特定分子のナノマニピュレーションの実証に取り組んだ。ラット胎児脳から調整した海馬神経細胞の分散培養系を対象とし、神経細胞接着分子NCAM抗体に量子ドットを結合する免疫蛍光染色により、生細胞条件において神経細胞接着分子の局在を確認した。波長1064nmの光ピンセット用レーザーを細胞表面に集光すると、集光位置において量子ドットからの二光子励起蛍光が観測され、神経細胞接着分子が時間とともに引き寄せられる様子が確認された。 レーザー光強度が高くなるにつれ、集光位置での蛍光強度の増加が顕著にみられたことから、光捕捉力の増大に伴いレーザー集光領域内の分子数の増加が示唆された。次に、蛍光相関分光法により、集光位置での二光子励起蛍光強度の自己相関関数を測定した。自己相関関数を二成分関数によりフィッテングしたところ、早い減衰成分と遅い減衰成分との両成分において、レーザー光強度が高くなるにつれ、自己相関関数の減衰時間が遅くなったことから、レーザー集光領域内の分子数が増加し、分子運動が遅くなると考察した。さらに、波長488nmの共鳴レーザー光を光ピンセット用レーザー光と同時に照射することにより、自己相関関数の減衰時間が遅くなる傾向もみられた。今後理論モデルの検証も含め、ナノマニピュレーションを効率よく行うための条件を検討する必要がある。
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