Research Abstract |
光の波長より微細な周期構造による共鳴格子を用いた,高感度・広範囲測定可能な屈折率センサに関する研究を行った.今年度は,マルチモード共鳴格子型屈折率センサによる測定範囲拡大・高感度化の検討を行う予定であったが,コンパクトな装置を実現するための測定系として,新たに方位角回転型構成を考案したので,まずこの方式について検討を行った.共鳴格子型屈折率センサは,屈折率変化によって,波長または入射角または方位角の変化に対する共鳴反射ピークがシフトするので,ピークのシフト量を測定することで,屈折率変化を同定する方式である.波長の変化を利用する場合は,分光器などの高額な装置が必要である.また,入射角を変化させる場合は,レンズで広いビームを集光することで,広範囲の入射角ビームを一括で入射し,反射光をレンズでCCDなどの受光素子上に結像させ,反射強度ピークの画素位置を用いて角度検出する方法があるが,この方法では,画素サイズ・レンズにより角度が制限され,高感度化が難しい.あるいは,入射角をステージで回転させる方法では,ステージ精度によって感度を上げることができるが,反射角もともに変化するので,装置構成が複雑になってしまう.これらに対して,方位角回転型では,入射角と反射角の位置関係は保たれ,レーザなどの単一光源を利用でき,設置も容易となることが期待できる.設計の一例では,屈折率変化0.03に対し,共鳴反射方位角が8.95度シフトした.0.01度の回転精度を実現できた場合,屈折率分解能はおよそ10^<-5>となる.測定範囲としては,1.3から1.9程度であり,従来の表面プラズモン屈折率センサと比較して大きくすることができた.屈折率分解能をさらに向上させるには,位相変化の測定などが考えられる.今後は,既存のセンサとの優位性を探りながら設計を行い,実際に素子を試作し,屈折率センサの実証実験まで行う予定である.
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